前回は1試合で2点になる確率を計算したので、今回は1試合でちょうど3点になる確率を計算したいと思います。
⚾ 1試合で「ちょうど3点」しか取れない確率
1. 1イニングあたりの得点別確率
計算に必要な確率をもう一度確認するよ。下記は2025年のプロ野球のデータで、1イニングあたりに得点ごとの確率です。
| 得点 | 確率 |
| 0点 | \(78.52\% = \mathbf{0.7852}\) |
| 1点 | \(12.49\% = \mathbf{0.1249}\) |
| 2点 | \(5.16\% = \mathbf{0.0516}\) |
| 3点 | \(2.40\% = \mathbf{0.0240}\) |
2. 事象の分析:3点を取るパターン
1試合(9イニング)で合計3点を取るには、以下の3つのパターンが考えられる。
パターン A: 3点を1つのイニングで取る
- 1イニングでちょうど3点を挙げ、残りの8イニングは全て0点。
- (3点を取るイニング) \(\times (0点を取るイニング)\times 8\)
パターン B: 3点を2つのイニングで取る
- 1イニングで2点を挙げ、別の1イニングで1点を挙げ、残りの7イニングは全て0点。
- (2点を取るイニング) \(\times (1点を取るイニング) \times (0点を取るイニング)\times 7\)
パターン C: 3点を3つのイニングで取る
- 3つのイニングでそれぞれ1点を挙げ、残りの6イニングは全て0点。
- (1点を取るイニング) \(\times 3 \times (0点を取るイニング)\times 6\)
3. 計算
それぞれのパターンの確率を求めて、最後に合計するよ。
A. 1イニングで3点取る確率
パターン数:9イニングの中から3点を取る1イニングを選ぶので、\({}_9 \mathrm{C}_1 = \mathbf{9}\) 通り。
$$\text{P}(\text{A}) = 9 \times [ \text{P}(\text{3点}) \times \text{P}(\text{0点})^8 ]$$
$$\text{P}(\text{A}) = 9 \times [ 0.0240 \times (0.7852)^8 ]$$
$$\text{P}(\text{A}) \approx \mathbf{0.0312}$$
B. 2つのイニングで2点と1点取る確率
パターン数:9イニングの中から2点と1点を取る2イニングを選んで順番を決めるので、\({}_9 \mathrm{P}_2 = 9 \times 8= \mathbf{72}\) 通り。(「1回2点、2回1点」と「1回1点、2回2点」は別パターン)
$$\text{P}(\text{B}) = 72 \times [ \text{P}(\text{2点}) \times \text{P}(\text{1点}) \times \text{P}(\text{0点})^7 ]$$
$$\text{P}(\text{B}) \approx 72 \times 0.0516 \times 0.1249 \times (0.7852)^7 \approx \mathbf{0.0854}$$
C. 3つのイニングで1点ずつ取る確率
パターン数:9イニングの中から1点を取る3イニングを選ぶ組合せなので、\({}_9 \mathrm{C}_3 = \frac{9 \times 8 \times 7}{3 \times 2 \times 1} = \mathbf{84}\) 通り。
$$\text{P}(\text{C}) = 84 \times [ \text{P}(\text{1点})^3 \times \text{P}(\text{0点})^6 ]$$
$$\text{P}(\text{C}) = 84 \times [ (0.1249)^3 \times (0.7852)^6 ]$$
$$\text{P}(\text{C}) \approx \mathbf{0.0384}$$
4. 最終的な確率
全パターンを合計する。
$$\text{P}(\text{1試合で3点}) = \text{P}(\text{A}) + \text{P}(\text{B}) + \text{P}(\text{C})$$
$$\text{P}(\text{1試合で3点}) \approx 0.0312 + 0.0854 + 0.0384 = \mathbf{0.1550}$$
したがって、1試合でちょうど3点しか取れない確率は、約15.50% です。
✅ 確率の推移と「3点」の重要性
これまでの結果をまとめると、
| 事象 | 確率 |
| 1試合で0点 | 11.35% |
| 1試合で1点 | 16.24% |
| 1試合で2点 | 17.04% |
| 1試合で3点 | 15.50% |
「1点」と「2点」の確率が最も高い(約16〜17%)のに対し、「3点」の確率はわずかに下がります。これは、「3点以上」の大量得点を取るのは、2点までに比べて難しくなることを示唆しています。
野球ではよく「3点取れば試合になる」と言われるが、これはプロ野球のデータを見ても、3点以下のロースコアの試合が全体の約6割(\(11.35+16.24+17.04+15.50 \approx 60.13\%\))を占めるためです。
つまり、先に3点を取ったチームは、この確率論から見ても勝つ確率が非常に高くなることが裏付けられる。野球における「3点の壁」の重みが、この計算で実感できるだろう。
1試合で3点の公式
$$\text{P}(\text{1試合で3点}) = 9 \times [ \text{P}(\text{3}) \times \text{P}(\text{0})^8 ]+72 \times [ \text{P}(\text{2}) \times \text{P}(\text{1}) \times \text{P}(\text{0})^7 ]+ 84 \times [ \text{P}(\text{1})^3 \times \text{P}(\text{0})^6 ] $$



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