加法定理

今回は「加法定理(かほうていり)」について、引き続き野球を例にして解説します。

加法定理は、簡単に言うと「『AまたはB』が起こる確率はどれくらい?」を計算するためのルールです。

野球では、「2つの事象が同時に起こり得るかどうか(ダブりがあるかどうか)」で計算方法が少し変わります。


1. 基本:排反事象(はいはんじしょう)の場合

~同時に起こらない場合~

まず、最もシンプルなケースです。2つの事象が決して同時には起こらない関係を「排反(はいはん)」といいます。

野球の1打席の結果で考えてみましょう。

  • 事象A: ホームランを打つ
  • 事象B: フォアボール(四球)を選ぶ

バッターが1回の打席で「ホームラン」かつ「フォアボール」になることはあり得ませんよね?

このようにダブりがない場合は、単純に確率を足し算すればOKです。

Q. この打席で、ホームランかフォアボールになる確率は?

$$P(A \cup B) = P(A) + P(B)$$

例えば、ある強打者のデータが以下の通りだとします。

  • ホームラン率:10% (0.1)
  • フォアボール率:20% (0.2)

このバッターが打席に入った時、「ホームラン または フォアボール」になる確率は:

$$0.1 + 0.2 = 0.3$$

つまり、30% の確率でどちらかの結果になります。


2. 応用:排反ではない場合

~同時に起こる可能性がある場合~

次に、少しややこしいケースです。2つの事象が重なる(ダブる)可能性がある場合です。

ここでは「打球の方向」と「結果」で考えてみましょう。

  • 事象A: ヒットを打つ(確率は3割=0.3)
  • 事象B: レフト方向に打球が飛ぶ(確率は4割=0.4 とします)

ここで「ヒット、または、レフト方向に飛ぶ確率は?」と聞かれた時、単純に \(0.3 + 0.4 = 0.7\) と計算してはいけません。

なぜなら、「レフト前ヒット」のように、「ヒットであり、かつレフト方向でもある」というダブりの部分(共通部分)があるからです。

単純に足すと、この「レフト前ヒット」の分を2回カウントしてしまうことになります。そのため、ダブった分を1回引く必要があります。

Q. ヒット、または、レフト方向に打球が飛ぶ確率は?

$$P(A \cup B) = P(A) + P(B) – P(A \cap B)$$

(Aの確率 + Bの確率 - 両方同時に起こる確率)

仮に、「レフト方向へのヒット(AかつB)」の確率が 15% (0.15) だとすると:

$$0.3 (\text{ヒット}) + 0.4 (\text{レフト方向}) – 0.15 (\text{レフトヒット}) = 0.55$$

つまり、確率は 55% となります。


野球で覚える加法定理

ケース野球でのイメージ計算ルール公式
排反である
(ダブりなし)
ホームラン と 三振
(同時には絶対起こらない)
そのまま足す\(P(A) + P(B)\)
排反でない
(ダブりあり)
ヒット と レフト方向
(「レフトへのヒット」という重なりがある)
足して、
重なりを引く
\(P(A) + P(B) – \text{重なり}\)