野球における得点しやすいイニング・しにくいイニングの特定

野球

野球の試合における得点発生確率がイニングによってどのように変動するか、2025年のNPBデータを集計しました。

イニング得点があったイニング数イニング合計得点発生確率得点合計平均得点平均得点0除く
inning142017160.24475527270.42365971.730952
inning236717160.21386956170.35955711.681199
inning335617160.20745926080.35431241.707865
inning441117160.23951056800.39627041.654501
inning535917160.20920756320.36829841.760446
inning639217130.22883837080.41331001.806122
inning732217100.18830415430.31754391.686335
inning835517100.20760236020.35204681.695775
inning924713270.18613414150.31273551.680162
inning10452020.2227723640.31683171.422222
inning11271220.2213115380.31147541.407407
inning1214700.2000000200.28571431.428571
Total3315154340.214785556540.36633411.705581

各イニングの得点確率と全体の平均(21.4%)と比較した図が下記の通りです。グラフは、「イニング別 得点発生確率と全体平均との差」を示しており、青い棒は平均よりも高い確率を、赤い棒は平均よりも低い確率を示しています。

📊 グラフからわかる主な傾向

  • 得点が発生しやすいイニング(平均を上回る)試合開始直後の序盤、特に1イニング4イニングは、全体平均を大きく上回っており、得点が発生しやすい傾向にあることがわかります。
    • 1イニング: +3%(最も高い)
    • 4イニング: +2%
    • 6イニング: +1%
    • 10イニング、11イニング: 延長戦に入ってからも、僅かですが平均を上回っています(それぞれ +1%)。
  • 得点が発生しにくいイニング(平均を下回る)試合が中盤から終盤に差し掛かる7イニングから9イニングにかけて、得点発生確率が平均を大きく下回っており、得点が発生しにくい「鬼門」のようなイニングになっていることがわかります。
    • 7イニング: -3%
    • 9イニング: -3%
    • 3イニング、5イニング、8イニング、12イニング: いずれも -1% で、平均を下回っています。
    • 2イニング: 平均とほぼ同じ(0%)。

⚾️ 野球の戦略との関連性

この結果は、実際の野球の試合展開や戦略を反映しています。

  1. 序盤(1, 4イニング)の高さの要因:
    • 1イニングの高さは、試合開始直後で相手投手の立ち上がりが不安定であることや、両チームが得点に絡む上位打線から始まるため、戦略的に積極的な攻撃を仕掛ける傾向があることが考えられます。
    • 4イニングも比較的高く、2巡目に入り打者が投手に対応し始めるタイミングであることが関係しているかもしれません。
  2. 終盤(7, 8, 9イニング)の低さの要因:
    • 7イニングから9イニングは、得点発生確率が最も低く落ち込んでいます。これは、勝敗を分ける重要な局面であり、両チームともリリーフエースや抑え投手といった最も強力な投手を投入する傾向があるため、簡単に得点を許さない守りの固い展開になることが強く影響していると推測されます。

このデータは、「試合の序盤でリードを奪うことの重要性」と「終盤に得点することがいかに難しいか」を数字で裏付けていると言えます。

🔢 付属データの詳細分析

イニング得点発生確率得点合計平均得点平均得点
(0点除く)
inning10.2444200.4231.730
inning40.2394110.3961.654
Total0.21433150.3661.705
inning70.1883220.3171.686
inning90.1862470.3121.680

1. 得点発生確率 (得点があったイニング数 / イニング数)

この列は、グラフで解説した内容の根拠となる数値です。

  • 1イニング (0.244): 全体平均 (0.214) よりも約 3% 高く、グラフの通り、最も得点が発生しやすいイニングです。
  • 4イニング (0.239): 2番目に高く、グラフの +2% の差を示しています。
  • 7イニング (0.188), 9イニング (0.186): 全体平均よりも低く、グラフの -3% の差の通り、最も得点が発生しにくいイニングです。

2. 平均得点 (得点合計 / イニング数)

1イニングあたりの平均的な得点数を示します。これは「得点が入る確率」と「入った時の点数」の両方を反映します。

  • 1イニング (0.423): 得点発生確率が高いことと相まって、1イニングあたりの期待値が最も高くなっています。つまり、最も点を取りやすいイニングです。
  • 7イニング (0.317), 9イニング (0.312): 確率は低いですが、1イニングの平均得点も最も低く、最も点が入りにくいイニングであることが裏付けられます。

3. 平均得点 (0点除く)

これは、「もし得点が入った場合、そのイニングで何点入るか」という、得点が入ったときの効率を示す数値です。

$$\text{平均得点 (0点除く)} = \frac{\text{得点合計}}{\text{得点があったイニング数}}$$

  • 全体平均 (1.705): 一度得点が入ると、平均して約1.7点入っていることになります。
  • 5イニング (1.760): 得点が入った場合、全体平均よりも多くの得点(約1.76点)が入りやすい傾向があります。これは、得点機を逃しにくい攻撃効率の高いイニングである可能性があります。
  • 1イニング (1.730): 確率も高い上に、入った時の点数も平均より高めです。
  • 延長イニング (10, 11, 12イニング):
    • 10イニング (1.422), 11イニング (1.407), 12イニング (1.428) と、平均よりかなり低くなっています。
    • これは、延長戦ではサヨナラの1点を取るための単打やバントなどを用いた慎重な攻めが多くなるため、大量得点になりにくい傾向を示していると考えられます。

📌 傾向

  1. 最も期待値の高いイニングは1イニング: 得点発生確率、1イニングあたりの平均得点ともに最高です。
  2. 最も点が入りにくいのは7~9イニング: 確率、平均得点ともに低く、守り合いの傾向が顕著です。
  3. 延長戦は効率が低い: 得点が入っても大量得点になりにくく、勝負を分ける1点の重みが大きいことが示されています。

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