前回、2025年NPBで発生したイニング別の得点発生確率を集計し分析を行いましたので、今回はチーム別の得点発生確率を分析してみたいと思います。
⚾️ チーム別イニング別得点確率の分析

グラフは、各チームのイニング別得点確率からNPB全チームの平均得点確率を引いた「差」を示しています。
- 青色の棒:そのイニングの得点確率がNPB平均より高いことを示します(強み)。
- 赤色の棒:そのイニングの得点確率がNPB平均より低いことを示します(課題、または特徴)。
- 点線(0.00ライン):NPB平均と同じであることを示します。
1. 🌟 特徴的な傾向を持つチーム
いくつかのチームは、特定のイニングやイニング群で際立った特徴が見られます。
1.1. 北海道日本ハムファイターズ
- 序盤の得点力(イニング1〜3)が非常に高いです。特に1回と3回の得点確率は全チームの中でもトップクラスに高く、平均との差が0.05〜0.10(5%〜10%)近くあります。
- 対照的に、2回の得点確率は平均より低いです。
1.2. 福岡ソフトバンクホークス
- 序盤(イニング1, 3)と中盤(イニング5)の得点確率が非常に高いです。特に1回と3回は日本ハムと同様に大きな青い棒が見られます。
- 2回は平均より低いものの、その後は平均を上回るイニングが多いです。特に前半に強く、試合の早い段階で主導権を握ろうとする傾向が推測されます。
1.3. 阪神タイガース
- 1回と3回の得点確率が高いです。
- しかし、2回の得点確率は全チームの中でも最も低い部類に入ります(大きな赤色の棒)。
- 中盤以降(イニング4〜9)は平均並みかやや高めの傾向です。
1.4. オリックス・バファローズ
- 中盤の得点力(イニング4〜7)が比較的安定して高いです。特に5回は高い得点確率を示しています。
- 序盤は平均並みかやや低く、試合中盤にかけて点を取りやすい特徴が見られます。
2. ⚖️ 安定した傾向を持つチーム
多くのイニングで得点確率がNPB平均に近い、あるいは比較的フラットな傾向を持つチームです。
2.1. 千葉ロッテマリーンズ
- 4回の得点確率が突出して高いですが、その他のイニングは概ね平均並みかやや低い傾向にあります。特定の中盤の回に集中打が出やすい可能性があります。
2.2. 読売ジャイアンツ
- 全体的に大きな青い棒が少なく、平均との差が小さいイニングが多いです。
- 5回と9回は平均よりわずかに高いですが、2回、4回、6回は平均より低い傾向が見られます。
2.3. 東京ヤクルトスワローズ
- 4回、6回、8回で平均より高い得点確率が見られますが、突出して高いイニングは少ないです。全体的に平均±$0.05$の範囲に収まっており、大きなムラがない特徴があります。
3. 👇 序盤〜中盤に課題が見えるチーム
序盤や中盤に得点確率が低いイニングが目立つチームです。
3.1. 中日ドラゴンズ
- 4回と6回の得点確率が低いです(大きな赤色の棒)。
- その他のイニングは平均並みかやや高い程度で、特に1回、3回、7回は平均をわずかに上回っています。中盤の得点効率に課題がある可能性があります。
3.2. 東北楽天ゴールデンイーグルス
- 1回、2回、4回の得点確率が低いです。特に4回は大きな赤色の棒が見られます。
- 対照的に5回、7回、8回は平均を上回っており、試合の後半にかけて得点力が上がってくる傾向が推測されます。
3.3. 埼玉西武ライオンズ
- 2回、4回、6回など、偶数回を中心に平均より低い得点確率が見られます。
- 3回と5回は平均を上回っていますが、全体的に得点確率が低いイニングが多い傾向があります。
3.4. 広島東洋カープ
- 全体的に平均との差が小さいですが、5回、7回、9回で得点確率が低いです。
- 特に終盤の得点力(7回以降)に課題がある可能性があります。
3.5. 横浜DeNAベイスターズ
- 1回、3回、5回の得点確率が低いです。
- 対照的に6回、8回、9回は平均を上回る得点確率を示しており、試合の後半〜終盤に強い傾向が見られます。
📈 総括的な特徴
- 序盤(1〜3回)に強いチーム:北海道日本ハムファイターズ、福岡ソフトバンクホークス、阪神タイガース
- 特に1回は多くのチームで得点確率が高くなっていますが、上記の3チームが群を抜いています。
- 中盤(4〜6回)に強いチーム:オリックス・バファローズ(5回)、千葉ロッテマリーンズ(4回)
- 終盤(7〜9回)に強いチーム:横浜DeNAベイスターズ(6回、8回、9回)、東北楽天ゴールデンイーグルス(5回、7回、8回)
- これらは試合後半で追い上げる力を持っている可能性が示唆されます。
- 特定のイニングの得点力が極端に低いチーム:
- 2回:阪神タイガース、埼玉西武ライオンズ、読売ジャイアンツ
- 4回:中日ドラゴンズ、東北楽天ゴールデンイーグルス
🐯 阪神タイガースとホークスの特徴分析
日本シリーズを戦った阪神タイガースと福岡ソフトバンクホークスの2チームに注目し、さらに詳しく分析します。阪神タイガースと福岡ソフトバンクホークスは、どちらも試合の序盤に強いという共通の特徴を持ちますが、その後のイニングで異なる傾向が見られます。
1. 🥇 共通の特徴:序盤の得点力
両チームとも、特に1回と3回の得点確率がNPB平均と比べて非常に高いという共通点があります。
| チーム名 | 1回の得点確率(差) | 3回の得点確率(差) | 示唆される戦略 |
| 阪神タイガース | 高い青い棒 | 高い青い棒 | 強力な上位打線で、試合の立ち上がりに先制点・追加点を狙う傾向が強いと推測されます。 |
| 福岡ソフトバンクホークス | 非常に高い青い棒 | 非常に高い青い棒 | 阪神と同様、序盤の攻撃に重点を置き、試合の主導権を早期に握ろうとする意図が見えます。 |
2. ⚡️ 阪神タイガースの具体的な特徴
阪神タイガースのグラフからは、「ハイリスク・ハイリターン」のような極端な傾向が読み取れます。
- 強み (High):1回と3回
- この2イニングはNPB平均を0.05ポイント以上上回る非常に高い得点確率を示しています。
- 弱点 (Low):2回
- 2回の得点確率は、NPB全チームの中でも最も低い水準にあり、大きな赤色の棒が見られます。これは、1回で攻撃が途切れる(下位打線に回る)、あるいは1回の攻撃で投手に立て直しの時間を与えてしまっている可能性を示唆します。
- この極端な1回と2回の差が、阪神の最大のイニング別特徴と言えます。
- 中盤以降 (Average):4回〜9回
- 4回以降は、ほとんどのイニングでNPB平均並み(0.00ライン付近)か、わずかに上回る水準で推移しています。特定の回に弱点や強みが集中するのではなく、2回でリセットされ、その後は平均的な得点効率に戻る傾向が見られます。
3. 🦅 福岡ソフトバンクホークスの具体的な特徴
ソフトバンクホークスは、序盤の強さに加え、中盤にも高い得点効率を維持する傾向が見られます。
- 強み(High):1回、3回、5回
- 1回と3回で強力な得点力を示した後、5回でも再びNPB平均よりかなり高い得点確率($0.05$近く)を見せています。これは、中盤のヤマ場でもしっかりと得点する集中力や打線の厚みを示唆します。
- 変動(Average/Low):2回、4回、6回
- 2回は平均より低いものの、阪神ほど極端な低さではありません。
- 4回と6回は平均並みかやや高め程度で、大きな課題となるような低いイニングはありません。
- 終盤(High):7回、9回
- 終盤の7回や9回も平均を上回っており、試合全体を通して得点機会を多く作り出せる、打線のつながりや層の厚さが特徴的です。阪神と比べると、得点できるイニングの分布が広く、安定していると言えます。
💡 まとめ
| 特徴 | 阪神タイガース | 福岡ソフトバンクホークス |
| 序盤の強さ | 極めて高い(1回, 3回) | 極めて高い(1回, 3回) |
| 最も低いイニング | 2回(NPBトップクラスの低さ) | 2回(平均よりやや低い程度) |
| 中盤以降の傾向 | 平均並みで安定(大きな特徴なし) | 5回に再度大きな得点力(打線の厚み) |
| 全体的な特徴 | 序盤に集中する得点力と2回の明確な課題。山と谷が大きい。 | 序盤〜中盤にかけて継続的な得点力。全体的に平均を上回るイニングが多い。 |



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