2025年NPBのデータに基づき、先行と後攻の勝敗に関する分析と解説を行います。
⚾ 先行と後攻の勝敗データグラフ化
2025年の先行・後攻の勝敗数は下記の通りとなっています
| 項目 | 試合数 | 割合(合計858試合) |
| 先行勝 | 382 | 約44.5% |
| 引き分け | 23 | 約2.7% |
| 後攻勝 | 453 | 約52.8% |
| 合計 | 858 | 100% |
📊 先行・後攻の勝敗傾向分析
1. 後攻の明確な優位性
後攻の勝数が先行の勝数を大きく上回っています。
- 後攻勝: 453試合(約52.8%)
- 先行勝: 382試合(約44.5%)
このデータは、「後攻有利」を明確に示しています。後攻チームが最終回の攻撃権を常に持ち、同点または僅差のビハインドで試合を迎えた際に、相手チームのスコアを見てサヨナラ勝ちを狙うことができるためです。
2. 得点差別データから見る傾向
次に、得点差別の詳細なデータから、先行と後攻の勝ち方の特徴を見ていきます。
得点差別勝敗数
| Result | 9点差以上 | 4-8点差 | 1-3点差 | 合計 (勝利数) |
| 先行勝 | 14 | 107 | 261 | 382 |
| 後攻勝 | 12 | 125 | 316 | 453 |
- 僅差での勝負強さ(1-3点差):
- 先行勝の約68.3%(261/382)が1-3点差の僅差勝利です。後攻勝の約69.8%(316/453)が1-3点差の僅差勝利です。
- 大差での勝利(4点差以上 / -4点差以下):
- 先行勝: 121試合(約31.7%)
- 後攻勝: 137試合(約30.2%)
📈 詳細得点差データから見る勝敗の分布
得点差ごとの試合数の詳細データを分析します。下記の表は、得点差がプラスの場合は先行チームの勝利で、マイナスの場合は後攻チームの勝利をあらわしています。
| 得点差 | 試合数 |
| 14 | 1 |
| 13 | 1 |
| 12 | 1 |
| 11 | 1 |
| 10 | 6 |
| 9 | 4 |
| 8 | 12 |
| 7 | 6 |
| 6 | 21 |
| 5 | 31 |
| 4 | 37 |
| 3 | 64 |
| 2 | 83 |
| 1 | 114 |
| 0 | 23 |
| -1 | 180 |
| -2 | 72 |
| -3 | 64 |
| -4 | 38 |
| -5 | 44 |
| -6 | 19 |
| -7 | 16 |
| -8 | 8 |
| -9 | 3 |
| -10 | 4 |
| -11 | 3 |
| -12 | 1 |
| -13 | 1 |
1. 非常に高い「1点差勝利」の割合
最も試合数が多かったのは以下の点差です。
- 1点差(先行勝): 114試合 (先行勝382試合の約29.8%)
- 1点差(後攻勝): 180試合 (後攻勝453試合の約39.7%)
特に後攻の1点差勝利(180試合)は全体の試合数(858試合)の約21%を占めており、全得点差の中で最も高い頻度で発生しています。試合展開が緊迫し、後攻チームがサヨナラ勝ちを収めるケースが非常に多いことを裏付けています。野球の試合で「1点差勝負」がどれほど重要か、また、その1点差をものにする上で「後攻」がいかに有利に働くかが分かります。
2. 分布の対称性
得点差の分布を見ると、勝利数が多いのは以下の範囲に集中しています。
- 先行勝: 1点差(114試合)から3点差(64試合)
- 後攻勝: 1点差(180試合)から3点差(64試合)
得点差の絶対値が大きくなるにつれて試合数は減少していく、という正規分布に近い傾向が見られますが、後攻勝の方が1点差の試合数が圧倒的に多く、分布が左に(後攻勝側に)わずかに偏っていることが読み取れます。この「わずかな偏り」が、後攻の勝率が約53%という結果を生み出している最大の要因です。
💡 まとめと結論
データから得られる最も重要な知見は以下の通りです。
- 「後攻有利」は事実: 2025年NPBのデータにおいて、後攻の勝数(453)は先行の勝数(382)を明確に上回っており、野球における後攻の優位性が統計的に裏付けられています。
- 接戦で後攻の力が発揮される: 勝利の約7割が1~3点差の僅差で決着しており、特に1点差での勝負強さが後攻チームの最大の勝因となっています。後攻の1点差勝利(180試合)は、全ての得点差の中で最も多く発生しています。
- 最終回の攻撃権の価値: このデータは、後攻チームが持つ「最終回の攻撃権」が、特に接戦における勝利確率を高める決定的な要素として機能していることを示しています。
これらの分析から、NPBの試合は接戦が多く、その接戦を制するために、試合終盤の「後攻」というアドバンテージがいかに重要であるかということがわかります。


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