7.UNION ALL-SQL経験者のためのR入門

SQLの UNION ALL 演算子について解説します。


🔗 UNION ALL 演算子による結果セットの統合(重複保持)

UNION ALL 演算子は、複数の SELECT クエリの結果セットを縦方向に結合するために使用されます。UNION と異なり、重複する行を削除せずにそのまま保持するのが最大の特徴です。

1. 動作の仕組み

UNION ALL は、以下の処理を非常に高速に行います。

  1. 結果セットの結合: 最初の SELECT クエリ (TABLE1) と二番目の SELECT クエリ (TABLE2) の結果を、単に順番に連結して一つの大きな結果セットとして結合します。
  2. 重複の保持: 結合された結果セット全体をスキャンして重複をチェックするソート処理を行いません。そのため、処理速度が速く、結果には元のテーブルに含まれていたすべての行(重複行も含む)が含まれます。

2. 利用条件とメリット

UNION ALL を使用するためのルールは UNION と同様に厳格です。

📝 利用条件

  • 列の数、順序、データ型: 結合するすべての SELECT クエリで、選択する列の数、並び順、およびデータ型が互換性を持っている必要があります。

🚀 メリット(利用シーン)

メリット利用シーン
高速性重複排除の処理(ソート)がないため、UNION よりも圧倒的に速いです。
完全性元のデータが持つ**すべての行(重複も含む)**を正確に把握したい場合に利用します。
ログ・履歴データ月別や日別に分かれたログテーブルを結合し、重複も含めたすべてのトランザクションを分析する場合など。

3. R言語 (dplyr) での対応方法

R言語では、dplyr パッケージの bind_rows() 関数が、SQLの UNION ALL 演算子と完全に同じ機能(縦方向の結合と重複の保持)を提供します。

🚀 Rコードの対応

R

# SQL: SELECT FIELD1 FROM TABLE1 UNION ALL SELECT FIELD1 FROM TABLE2

# R言語:
library(dplyr)

# 1. 結合前に、両方のデータフレームでFIELD1だけを選択する
table1_data <- TABLE1 %>% select(FIELD1)
table2_data <- TABLE2 %>% select(FIELD1)

# 2. UNION ALL (縦結合と重複保持) を実行
bind_rows(table1_data, table2_data)
演算子目的R言語の対応関数
UNION ALL重複を保持したまま結合bind_rows()
UNION重複を排除して結合union()