SQLの UNION ALL 演算子について解説します。
🔗 UNION ALL 演算子による結果セットの統合(重複保持)
UNION ALL 演算子は、複数の SELECT クエリの結果セットを縦方向に結合するために使用されます。UNION と異なり、重複する行を削除せずにそのまま保持するのが最大の特徴です。
1. 動作の仕組み
UNION ALL は、以下の処理を非常に高速に行います。
- 結果セットの結合: 最初の
SELECTクエリ (TABLE1) と二番目のSELECTクエリ (TABLE2) の結果を、単に順番に連結して一つの大きな結果セットとして結合します。 - 重複の保持: 結合された結果セット全体をスキャンして重複をチェックするソート処理を行いません。そのため、処理速度が速く、結果には元のテーブルに含まれていたすべての行(重複行も含む)が含まれます。
2. 利用条件とメリット
UNION ALL を使用するためのルールは UNION と同様に厳格です。
📝 利用条件
- 列の数、順序、データ型: 結合するすべての
SELECTクエリで、選択する列の数、並び順、およびデータ型が互換性を持っている必要があります。
🚀 メリット(利用シーン)
| メリット | 利用シーン |
| 高速性 | 重複排除の処理(ソート)がないため、UNION よりも圧倒的に速いです。 |
| 完全性 | 元のデータが持つ**すべての行(重複も含む)**を正確に把握したい場合に利用します。 |
| ログ・履歴データ | 月別や日別に分かれたログテーブルを結合し、重複も含めたすべてのトランザクションを分析する場合など。 |
3. R言語 (dplyr) での対応方法
R言語では、dplyr パッケージの bind_rows() 関数が、SQLの UNION ALL 演算子と完全に同じ機能(縦方向の結合と重複の保持)を提供します。
🚀 Rコードの対応
R
# SQL: SELECT FIELD1 FROM TABLE1 UNION ALL SELECT FIELD1 FROM TABLE2
# R言語:
library(dplyr)
# 1. 結合前に、両方のデータフレームでFIELD1だけを選択する
table1_data <- TABLE1 %>% select(FIELD1)
table2_data <- TABLE2 %>% select(FIELD1)
# 2. UNION ALL (縦結合と重複保持) を実行
bind_rows(table1_data, table2_data)
| 演算子 | 目的 | R言語の対応関数 |
| UNION ALL | 重複を保持したまま結合 | bind_rows() |
| UNION | 重複を排除して結合 | union() |